「国連子ども特別総会」への参加
   
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  2002年5月8日から10日にかけて、ニューヨークの国連本部で「国連子ども特別総会(UNGASS)」が開催されます。国際子ども権利センターからは、渡邊、中山、西村、佐藤が出席することになりました。世界は子どもたちのために10年前、約束―子どもの利益をなにごとにもまして最優先する―をしました。しかし、この約束は果されず、世界情勢は子どもが生きる上での選択肢と機会を、ますますうばっています。 いま、子どもたちのために、世界は再び集結します。今後10年間世界は子どもたちのためにどのようなはたらきをするのでしょうか。UNGASSではどのようなことが協議されるのか、ぜひ注目していきましょう!


T 子どものための世界サミットから国連子ども特別総会へ

UNGASSには、各国から首脳や政府代表、NGO、さらに子どもたちが集まります。 そして、1990年に開かれた「子どものための世界サミット」での約束がどれだけ果たされたかを確認し、 子どもの権利を守るためにどのようなさらなる行動が必要かを話し合います。

@) 子どものための世界サミット

この会議は、史上初の子どもに関する多大な意味を持った世界会議でした。 このサミットにおいて「子どもの生存、保護、発達に関する世界宣言」(World tection of Children)が署名され、子どもたちを 守り、彼らの苦しみを取り除くこと、全ての子どもに人間としての可能性を最大限に発展させること、子どもが持つニーズ、権利、そして機会に自らを気づかせることが約束されました。 最も大きく謳われたことは「子どもの利益を何事にもまして最優先する」でした。 更に「行動計画」(Plan of Action for inplementing the Declaration)が採択され、 2000年までに達成すべき27の目標、特に以下の7つが取り上げられたのです。

  1. 5歳未満児の死亡率を、1990年の3分の2又は、出生1000人あたり70のどちらか低いほうまで引き下げる。
  2. 妊産婦死亡率を1990年の半分に引き下げる。
  3. 5歳未満の栄養不良児数を1990年の半分にまで減らす。
  4. 全ての人が安全な水と衛生施設を使用できるようにする。
  5. 全ての子どもが小学校に行き、その80%が小学校を卒業できるようにする。
  6. 成人の非識字率を半分に減らし、男女とも平等に教育を受けられるようにする。
  7. 特に困難な状況下にある子どもを守り、戦争に巻き込まれた子どもなどは特別に保護をする。

A) 国連子ども特別総会へ

子どものための世界サミットから10年間、予防可能な病気で亡くなる子どもの数は大きく減少し、基礎教育を受けられる子どもの数も 増加するなど、多くの分野で進歩がありました。 しかし、反省点として、このサミットで採択された「行動計画」は政府関係者以外にはほとんど知られていなかったことでした。 そのため政府やユニセフだけではなく、NGO、教育機関、報道機関等の広範な団体と子どもたちとの世界的なネットワーク構築の必要性が認識されたのです。

B) 国連子ども特別総会

この会議では、過去10年間に子どものために成し遂げられた成果に ついて検証し、今後10年間に実施すべき具体的な行動についてのコミットメントと約束を新たにします。 具体的には、例えば「子どもの権利に関する条約*」を世界中の全ての国が 批准するよう努めることです。また、「特に困難な状況下にある子どもに対する保護を強化する」という点や、 「1996年8月にスウェーデンのストックホルムで開催された『第一回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議』で採択された行動網領を可能な限り速やかに実施すること」と いった点も具体化され新たな約束として盛り込まれます。会議のメインテーマは 「子どもたちにふさわしい世界を創る(A World Fit for Children)」であり、以下の10項目に関して討議されます。

  1. 子どものことを第一に考える
  2. 貧困撲滅
  3. 全ての子どもを1人残らず優先する
  4. 全ての子どもにケアを−栄養−
  5. 全ての子どもに教育を;無料の義務教育を、特に女子への教育を
  6. 全ての子どもを有害なもの・搾取から守る
  7. 子どもを戦争から守る
  8. HIV/AIDSから守る
  9. 子どもの声を聞く
  10. 子どものために地球環境を守る

* 「子どもの権利に関する条約」
「子どもの権利条約」及び同条約の2つの選択議定書(「紛争下における子どもの関与に 関する選択的議定書」および「子どもの売春、子ども売春及び子どもポルノに関する選択議定書」)
   

C) 国連子ども特別総会への流れ

1924年国際連盟 「子どもの権利に関するジュネーブ宣言」 採択
一次世界大戦の反省からつくられたもの
1946年UNICEF創設
1948年世界人権宣言 採択
1959年国連 子どもの権利宣言 採択
1979年国際児童年
1989年国連子どもの権利条約 採択
2002年現在、191か国が署名。国際的規約としてはほかに類を見ない広く受け入れられた条約。アメリカとソマリアが未批准。従来の子ども観である「子どもは保護されるもの」から「権利の主体」へと変遷。
1990年9月子どものための世界サミット(日本からは、当時の海部首相が出席)
世界71か国の元首、そのほかの国の代表88人が158カ国からが集まりました。「子どもの生存、保護、発達に関する世界宣言」が署名され、「行動計画」が採択されました。
1994年日本、子どもの権利条約を158番目に批准
2001年9月国連子ども特別総会、米国同時多発テロ事件のため延期
2002年5月国連子ども特別総会開催


U UNGASS開催までの流れと成果文書

@)  準備会合 

 UNGASSが開催されるまでの流れとして、初期会合(準備会合および準備委員会)が開かれ、UNGASSでの議題を設定、宣言および行動計画の案文が検討されました。その後、準備会合が全部で3回開かれ('00〜01年)、 第3回にはセンターから中山が出席しました。  準備会合では、国連加盟国代表との協議がおこなわれ、特別総会の正式議題が定められたほか、成果文書案の文書が討議されました。第3回ではわずかながら子どもたちの参加もあり、発言の機会がありました。

A)  地域会議及び宣言

 UNGASS開催を前に6つの地域会議が開かれ、それぞれの地域での課題について話し合いがなされました。政府が自国の子どもたちに対するコミットメントについて報告を提示し、 各国の現在までの進捗状況と今後の課題がまとめられました。 この報告は地域討議の叩き台づくりに役立ったほか、国連事務総長にも提出されて分析がおこなわれ、採択文書に生かされました。  いくつかの地域では子ども参加が盛り込まれました。たとえば、アラブおよび北アフリカ地域から選ばれた120人余りの若者は"the Global Movement for Children"に関して話し合いをおこないました。 その結果、"Call for Action"が出されました。 (詳しくは以下のホームページを参照。http://www.unicef.org/specialsession)。

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B) 採択文書

 UNGASSで採択される予定の文書は2つあります。
"We the Children(わたしたち子ども)"と"A World Fit for Children(子どもにふさわしい世界を)"です。

"We the Children(わたしたち子ども)"は事務総長が提出する報告書です。子どものための世界サミット以後の10年間の実績を審査したもので、同サミット ← "We the Children" (UNICEF ホームページよりダウンロードできる) で定められた目標(子夢子明Vol.37号参照)に関する国別フォローアップ報告を総合し、今後の行動に関する勧告をおこなっています。この中でアナン事務総長は以下のように語っています。「世界は『子どものための世界サミット』の目標のほとんどを達成することができなかった。」「多くを望みすぎたわけでも、技術的に到達できないことだったわけではない。大半は、十分な投資がなされなかったため、実現できなかった。」

 "A World Fit for Children(子どもにふさわしい世界を)"は成果文書案で、今後10年間に向けた国連全加盟国による宣言及び行動計画(4つのテーマ:@健康な生活の促進、A質の高い教育の促進、B虐待、搾取、暴力からの保護、CHIV/AIDS)が示されます。第3回の準備会合の段階では、各国の思惑がぶつかりあい、完成を見ずに終わりました。最終的な合意文書作成は4月下旬に再度協議され、本会議での採択をめざします。

 NGOもまた、この文書について広範な意見の提供をおこなっており、中には、代替的な文書案を発表しているものもあります(第3回準備会合で配布された)。  グローバルマーチ(http://www.globalmarch.org)は『子どもたちへの0.1%』というキャンペーンを繰り広げ、文書の一部修正を訴えています。   さらに、この成果文書のチャイルドフレンドリー版も登場しています。しかし英語圏のネーティブである子どもたちにとってはやさしい言葉ばかりが使われているため、文書の意味があまり伝わってこないという声が上がっています。しかし一方で、ノンネーティブの子どもたちにとってはわかりやすく、受け入れやすいため、この文章が非常に多くの子どもたちに伝わるとしています。

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*  子どもたちへの0.1%  *

『 先進国各国がGNPの0.1%を子どもたちのみに関する開発援助にあてることを要求する。
この数値が国富のたった1000分の1であることを考慮すれば、 この目標が不可能ではないことは一目瞭然ではないだろうか。…(中略)
0.1%は少ないように思えるが、総額にすると毎年250億米ドルが世界の貧しい子どもたちのために投資されることとなる。 250億米ドルは、子どもたちの健康、教育、成長に携わる具体的な政策と曖昧な約束のみに留まっている現状との間のギャップをなくすことができる。 ユニセフによると、すべての子どもたちに教育を与えるためには、90億米ドルが必要であるという。さらには、より少ない資金で予防可能な伝染病で亡くなる子どもの数の減少、 出生届制度の確立および、搾取からの保護が可能である。 …………・(中略)
 「子どもの生存、保護、発達に関する世界宣言」48条(a)("A World Fit for Children")を以下のように訂正することを要求する。  「先進国各国のうち、GNPの0.7%をODA全般にあてる方針を確立し、さらに、GNPの0.15〜0.2%を最貧国における開発援助に対して出資をし、 最低でもGNPの0.1%を世界の子どもたちのためだけに出資すること、以上をなしえていない国はこれらを早急に施行する。」』


(ワールドカップキャンペーン(主催ACE:代表 岩附由香)の際に配布された資料より抜粋。)

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